凪のお暇とアダルトチルドレン
去年放送していた頃にドラマで凪のお暇を見た。
わけもわからず惹かれて、毎週夢中になって見た。
もちろんヒロインの凪を取り囲む男性達は高橋一生演じる慎二と、中村倫也演じるゴンさんの2人ともめちゃくちゃカッコよくて、普通に恋愛モノとして観ても面白いのかもしれないが、何が私の心を掴んで離さなかったのかを、ACの自覚を持って初めて分かった。
- ACはコミュニケーションの正解を探す
序盤から凪は会社の同僚との会話のシーンでどんなリアクションを取るのが正解なのかを探す。その中で一番良さそうな選択肢は凪自信が本当に言いたい言葉ではなく、なんとなく心が重くなるシーンだ。
でも、私もその気持ちがよくわかる。
安心できない人と話している時に、私はこの会話でどんな言葉を返すべきか、一瞬のうちに頭の中でたくさんの選択肢を検討し尽くすのだ。
その選択肢の中に良さげなものが見つからないことの方が多いのだが、そんな時は愛想笑いだ。
なぜか。
それは、その会話の中でいかにマイナスポイントを稼がないか、という自分のためのコミュニケーションだからだ。
究極相手に関心を持っているから会話している訳ではないのだ。
だから、愛想笑いとか凪の「わかるー…」で会話は終了してしまうのだ。
そして、一瞬のうちにたくさんの選択肢を検討し尽くすことを繰り返しているから人付き合いの後、ぐったりと疲れてしまうのだ。
「私は人との関わりが苦手だ」という自認のある人間の完成だ。
ACの人はそんな人が多いんじゃないかと勝手に思っている。
いつも親の求める正解の選択肢を探してきた。
外すと恐ろしい目にあった。
だからたくさんの選択肢を検討し尽くして、疲れ果てるそんな生活を繰り返している私達は凪に全力で共感してしまうのだろう。
- 「あんた人に興味ないのかと思ってたよ」
バーで働き始めた凪は、お客さんと会話が続かないことに思い悩む。
そんな凪にママがかけた言葉がこれ。
あんたは他人に興味ないから会話のボールを自分のところで止めちゃってる、と言われて
そんなことない!
と反射的には思うが、思い返すと、自分には興味を持って欲しいのに相手のことに興味ないんだと気づく。
私は他人からの愛情に飢えている自覚がある。だから他人から興味を持たれたい気持ちも共感するし、その気持ちが強すぎて他人に興味が持てていないというのもわかる。
だからこそ、凪がママからのアドバイスを聞いて、行動して、成功体験を得たシーンに心動かされたんだと思う。
私もこんな風にやってみたら、もっと楽しく他の人と話せるのかな?と思えるように描かれているのだ。
- 凪の苦しみの根源の母娘関係がリアルすぎる
ドラマや漫画が進んで行くにつれ、凪の母親が登場する。
私はこの母親に対する凪の感情が、自分と同じ過ぎて震えた。
そして特に漫画の中では繊細にその気持ちを分解していく。
凪の母親は何を見て何と接して何を考えて生きているのか。そんな母親に育てられた凪がどんな人間になって何に苦しんでいるのか。
私もそうなの!
ずっとそんな気持ちで生きていたの!と目の前に凪がいたら両手を掴んで言いたい気持ちになる。
- 凪のお暇が気づかせてくれたこと
漫画の6巻で凪はついに母親と対峙する。
お暇生活の中で、自分らしさを取り戻し始めた凪は、母親を目の前にすると1人ではそれを保つことができない。
なぜ会社を辞め、結婚する予定の彼氏がいるとウソをつき、ボロボロのアパートに住んでいるのかを母親に理解してもらうために、自分の家で2人で話をする凪は危うく負けそうだった。
そんなときに、これまで生まれ変わろうとしてきた凪にできた仲間達が、凪を助けに来てくれるのだ。
私はこのシーンを読んで、あまりにもつらすぎて泣いた後、しばらく立ち直れなかった。
こんなこと、現実では起きない。
タイミング良くうららちゃんは来てくれないし、元彼慎二が心配して来てくれたり、バーのママ達が押しかけてきてくれたりはしない。
でも、こんな味方が沢山いないと戦えないくらいに、ACにとっての親は悪い意味で大きな存在なのだ。
実際に凪が救われた次のページで、凪は母の住む田舎に帰った描写がある。
むしろ、こんなに支えがあっても勝てないのだ。
あまりに残酷にリアルすぎる。笑
それでも仲間を作ること。
助けてと言っていい人を1人でも多く作ること。
そんな人間関係をどうやったら作れるのか。
そんなことを凪のお暇は教えてくれる。
それがあれば戦える可能性と希望をくれる。
だから私は凪のお暇にのめり込んだのだと思う。
まだ未完結の作品なのでこれからも私は凪の生き様を追いかけるし、自分の励みにしていくと思う。
凪に一緒に戦って欲しい。
つらくて寂しくて悲しくてしょうがないことばっかりに見える、私の人生を私らしく生きる為にこれからも私は凪のお暇を応援したい。